必要医師数倍率が5年前比微減 今後の動向に注視

必要医師数倍率が5年前比微減 今後の動向に注視

医師不足が問題視される中、国や各自治体、医療機関ではさまざまな対策を検討してきました。こうした対策の効果は表れてきているのでしょうか。

日本医師会は今年7月、全国の病院を対象に実施した必要医師数調査結果を公表しました。この調査結果によれば、5年前に行われた調査と比較して必要医師数倍率の増加が見られないことがわかったのです。

必要医師数調査の概要


必要医師数調査は、地域別・診療科別に必要医師数の実態を把握する目的で行われました。医師の確保および偏在解消対策に役立てる方針です。

全国8,462病院を調査対象とし、郵送やメールなどで回答を受付。基本情報の有効回答数は51.0%でした。

本調査における「必要医師数」とは、「地域医療において、現在、貴施設が担うべき診療機能を維持するために確保しなければならない医師数」と定義したものです。調査票に「貴院の現状の経営状態にかかわらず(医師を雇用する経済的余裕があるかどうかは別として)、お答えください」などの注釈を付しました。

必要医師数は5年前と比べ微減

必要医師数は5年前と比べ微減

必要医師数に関する調査は、2010年に厚生労働省が行ったものがあります。
日本医師会は、今回の調査結果と厚生労働省の2010年調査結果の比較について「調査対象や手法が異なるため単純な比較はできない」とした上で、「全体の傾向の比較は可能」という見解を示しました。

全体の結果では、現状で確保できている医師数に対する必要医師数の倍率は1.11倍で、2010年の厚生労働省調査の1.14倍より低くなっています。
また、必要医師数のうち求人を行っている医師数についても、2010年調査の1.11倍に対し今回の調査では1.06倍と低くなっていることがわかります。

5年前と比較して必要医師数倍率は増加しておらず、日本医師会は「改善とは言わないが悪化はしていない」と言及。
2010年に本格的な医学部定員増が行われた後の医学生はまだ卒業していないので、その効果もあわせて引き続き今後の動向を見守っていく必要があるとしています。

医師偏在については5年前と似た傾向に


診療科別の医師不足については、2010年の厚生労働省調査と同様の傾向が見られました。リハビリテーション科、救急科、産科、心療内科、病理診断科で医師不足が目立ちます。また、「全科」(総合診療部など)でも医師が不足しています。

地域による医師の偏在についても、5年前と似た傾向が見られます。島根県、福井県、岐阜県、徳島県、秋田県などで必要求人医師数倍率が高くなっています。

病床別では、病床規模が大きいほど医師を必要としている病院が多いという傾向が見られました。

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