医師526名に対して行われたアンケートの結果、医師不足を実感している声が多数挙がったようです。
それに伴い、「偏在」問題も浮き彫りになりました。
今回は医師が危惧する「医師不足」と「偏在」についてまとめてみました。
医師の絶対数
医師不足の問題が取り沙汰されていますが、当事者である医師が誰よりも実感しているもの。
医師の絶対数についての質問で「多い」「ちょうどいい」「足りない」「わからない」の4つから回答を選ぶのですが、最も多かった回答が「足りない」で39.9%
となりました。
45歳以上・45歳未満で分けてデータを算出すると、医師不足を感じている45歳以上は40.1%で、45歳未満は39.7%
という結果に若年医師のほうがわずかに「医師過剰」と認識している場合もありますが、
大多数の医師が人手不足を実感できるほど現状は厳しくなっているのです。
偏在が起こる医療現場
医師不足の実感にもある程度バラつきがあるということは、あらゆるところで偏在が起きているという事実の証左でもあります。
偏在の有無について質問をすると大半の医師が「ある」と回答しています。
診療科偏在
医師の92.2%が実感している診療科偏在。
勤務実態・医療訴訟などのリスクから、産婦人科や小児科の人気は低迷していくばかりで、常に医師不足が続いているのが現状です。
内科・外科・救急なども勤務内容が過酷なため、志望する医学生が減少しています。
地域偏在
最も明確に偏在があると認識されているのが地域偏在で、割合は全体の94.9%にも上ります。
2004年度から臨床研修制度が必修化されたため、大学医局側が地域に医師を派遣できなくなった
ことが理由の1つ。
埼玉県や千葉県、茨城県
は特に医師不足が深刻化しています。
勤務形態の偏在
全体の85.2%が感じている勤務形態の偏在。
過酷な労働条件に嫌気が差し特定の勤務先を持たないような医師が台頭するなど、「医師のフリーター化」が問題を助長させているのではないでしょうか。
また、昨今では女性医師が増加傾向にありますが、仕事と家庭(家事・出産・育児)のバランスを取るために勤務形態が配慮される
ことが多いです。
時短労働などがその最たる例なのですが、短縮された分は他の医師が負担を強いられています。
しかし、女性医師に配慮がなされていない医療施設・診療科は不人気になり、偏在が加速。
医師の絶対数が少ない事で悪循環に陥っていると言えるでしょう。
医師不足は何よりも優先して解決策を講じていかなければならない問題の1つです。
偏在を根本的に解決するためには医師の絶対数を増やしていく必要があります。