公立病院の65歳を超えた「シニアドクター」について、岩手県医療局は平成27年度から3年間にわたり正規職員待遇で雇用できる医師の任期付職員採用制度を東北地方で始めて導入しました。
すでに、今月から医師の募集を始めており、県立病院の深刻な医師不足の解消に向けた取り組みとして、行方が注目されています。
待遇改善で経験豊かなシニアドクターを確保
県立病院で医師の任期付職員採用制度を導入するのは、岩手が5県目ですが、常勤の医師を募集するのは岩手が2番目になります。
これまで県立病院では、外部のシニアドクターや院内で3年間の勤務延長を経た68歳超の医師を臨時職員としてしか採用できませんでした。
このため、正規職員より給与が200万円程度低く、採用のネックになるケースもあったといいます。
待遇改善でシニアドクターを採用しやすくするのが、この制度の狙いです。
正規職員待遇で、国内の学会出席に伴う研修助成として年額18万円の旅費と同3万円の受講料が支給され、認定医や専門医の資格取得者には同3万円、沿岸の県立病院勤務者には同額4万円範囲の加算もあります。
一方、臨時職員の研修助成は年額7万円の旅費だけ。
正規職員待遇で年収が200万円程度増えるほか、研修助成も3倍以上になります。
また、医師免許取得後45年を経た医師が、給与の最も高い山田、大槌、高田の3病院に勤務すると、年収は概算で1690万円になるといいます。
背景には県立病院の医師不足の顕在化
この制度を27年度に導入した背景には、県立病院の医師不足の顕在化が大きい。
東日本大震災後の23、24年度に年間約20人を数えた応援医師が、25年度以降は派遣期間の終了などで大幅に減少しました。
一方、28年度以降に津波で被災した沿岸の山田、大槌、高田の3病院が相次いで全面復旧し、病床を抱え、即戦力となりうる医師の確保が急務となっています。
これが、今回の医師の任期付職員採用制度に繋がりました。
初年度の募集は10人程度を見込でいます。
医師免許取得後、おおむね10年以上の臨床経験があり、常勤の医師として3年間働く意思のあることが条件となります。
なお、採用日から5年の範囲内で任期を更新する場合もあるとのことです。
岩手県医療局では、任期の定めのない常勤の医師も現在募集しています。