東日本大震災以来、日本各地で地震の発生率が上がり、各地で起こるかも知れない激甚災害に対する危機意識が高まっています。
特に政府でも対策準備が急がれるのが「南海トラフ地震」で、内閣府の動きも活発な事から、南海トラフを震源とする巨大地震が起こる日が近付いているのは間違いないでしょう。
日本には公式に認知されている地震源だけでも「糸魚川静岡構造線」「中央構造線」「根尾谷断層」「信濃川断層帯」「富士川河口断層帯」「野島断層」「千島海溝」「日本海溝」「相模トラフ」「駿河トラフ」「南海トラフ」と、枚挙に暇がありません。
日本全国、どこで激甚な災害が起こっても不思議はないのです。
記憶に鮮やかな東日本大震災が起こった時、被害規模のあまりの大きさに、それまで懸念の外であった分野においても医師不足という事態が見られました。
死者数、行方不明者数、死因を限定するためにも絶対に欠かせない「検案医」です。
「検案医」不足の解消を目指す徳島県の取り組み
検案医は死者が出た場合に求められますが、通常の医療知識、技術の他に、死亡確認の検案に習熟している必要があります。
特に激甚災害など、多数の死者が出た場合にはスピードも必要となりますし、その上で正確でなければなりません。
しかし、現状としてはそもそも医師そのものの不足が叫ばれており、後進の指導に先達の医師が当たるだけの十分な余地が存在しないのです。
そうした状況を打開し、予測される災害に備えるための取り組みとして徳島県医師会が「検案方法を説明するDVD」を全国で初めて作り、県内の医師600人と全国の医師会に無料配布しました。
「検案」は医師になるための必修科目
死因などを調べる「検案」は医学部では必修科目に含まれており、本来ならばすべての医師が「検案」出来てしかるべきでしょう。
しかし、実態としては検案書作成に関わる医師はそれほど多くはありません。
震災・災害では多数の死傷者が予測され、実際に東日本大震災の際には全国から応援の医師が駆けつけました。
南海トラフでは東日本大震災よりさらに広域の被災が予測され、発生時には他の地域へ応援を派遣するゆとりがないという可能性があります。
被害規模の予測は、全国で32万人。
徳島県内だけでも約3万1千人が犠牲になると考えられ、定期的に検案を担当する医師が10人ほどの徳島県では必ず検案医不足になるでしょう。
検案医育成を急務として考案されたこの「検案方法を説明するDVD」は、全国でも災害への有益な対策となるのではないでしょうか。