大学の医局に所属しているが、そろそろ民間の医療機関へ転職をしようかとお考えの先生向けに医局と民間の違いについて、ご説明しております。
キャリアプランを慎重に検討
大学病院などに勤務なさっている医師の方は、給与面や待遇などでいろいろと民間との格差を感じられることが多いのではないでしょうか。
生活のためにアルバイトに精を出さざるを得ない先生も少なくないようです。「民間病院に移ればこんな苦労はしなくて済む」とお考えの方も多いでしょう。しかし診療科によっては民間病院ではなかなか専門医を取ることが難しい場合もあり、転職に際してはご自分のキャリアプランを十分検討した上で、必要なキャリアが積める転職先を確保してからご決断されたほうがよいのではないかと思われます。
医局からの派遣先の不満
医局にもよりますが、もともと医局は地方の地域医療を底支えしていた側面もあり、人気のない僻地の病院に派遣されるといったケースも少なくありません。2~3年なら辛抱できても、意に沿わない人事ばかりが続くようでは先が思いやられることもあるでしょう。医局から退局する際には、「医局にいた方が安定している・・」「先生がいなくなったら医局が困る・・」「後任がいないから派遣先に穴があく・・」「もっと良い条件の外勤先を用意するから・・」等、様々な形で医局側から引き止められると思います。先生のことを必要とされている限りは、引き止められるのも当然かと思われます。
もし、転職先のアテがない状態でこのようなことを言われたら、退局の意志が揺らいでしまう方も多いと思います。しかし、しっかりとした転職先を確保しておけば、このような言葉に決心がぐらつくことはないのではないでしょうか。
退局を切り出すタイミング
医局から退局して民間の病院に転職を検討する場合は、まず退局が円満に進むよう入念な根回しが必要です。現在はどこの医局も慢性的な人材不足に陥っていますから、強引な引き止めが行われる可能性は十分にあります。
まず退局を切り出すタイミングですが、もしあなたの退局の意志がしっかりと強固なものであれば、医局のトップ、あるいは直接話ができるなるべく高いポジションの方に早めに意志を告げるべきだと思います。
トップの方に話をすれば、もちろん最初から強烈な遺留はされるかもしれませんが、そこを突破できれば退局は円満に進みやすくなるかと思います。
重要な点は、誰かの面子を潰さないように慎重に心配りをすることです。「どうせ辞めるのだから、後は野となれ」式に遺恨を残して退局すると、後々悪い評判を立てられたり時ならぬ時に嫌がらせを受けたりすることもあります。
まずは、退局に際して大義名分の立つ理由を考えること。そして「お言葉はわかりますが、自分なりに重々考え抜いた結論ですので」という風に容易に意見を変えない事が大切です。あいまいな態度を見せると(まだ説得の余地があるのでは)という期待を持たせてしまい、かえって説得が激しくなったりする場合があります。
なお、年度替わりが近づくとすでに新年度の人事に予定が組み込まれてしまいます。
こうしたこともトラブルの原因となりますから、遅くとも年度替わりの3ヶ月前には退局を打診しておくべきです。