
埼玉県では、第6次埼玉県地域保健医療計画に基づき、県内29病院、
1854病床の増床計画の採用
が決定。
これに伴い埼玉県では、
医師の育成・確保を図る病院に対して、
病床を優先的に配分する方針
を表明しました。
今回はこのニュースを紹介したいと思います。
ニュース概要
全国47都道府県の中で最下位
です。
全国平均と同レベルになるためには
5648人
の増員が必要となります。
埼玉県では医師不足改善のために、研修医への研修資金・医学生への奨学金貸与などの支援を進めているのですが、
思うような改善にはつながっていません。
県内で新しく医師を生み出すことが不可欠なのですが、埼玉県内に医学部がある大学は埼玉医科大学のみ。
この逼迫した状況を打破するために、県はプロジェクトチームを発足。
医学部の調査・検討を行ってきました。
県内の医療ニーズの現状を分析し、将来設計、必要医師数などのシミュレーションを行った結果、
医師不足解消には
医師の確保や育成を図る病院を整備することが
有効
であると判明しました。
そのため、埼玉県では県地域保健医療計画の見直しを行い、病床数を改定する際に、
医師の確保・育成を図る病院は
病床数の加算対象
として挙げています。
病床数増加の背景

基本的に国は各都道府県のデータから「基準病床数」を割り出して
います。
5年に1度、直近の国勢調査結果に基づく人口を基準として数値を算出するのですが、差異は生まれてしまうものです。
埼玉県は2010年度の国勢調査結果から病床数を見直したものの、2011年度も人口が増加。
高齢化も相まって患者数が増加傾向になり、病床数の不足は埼玉の大きな問題でした。
2011年の調査によると、
県の10万人あたりの病床数で埼玉は全国最下位の482.6床
。
1位の高知とは約500床もの差が生じていました。
このことから厚労省に見直しを求めたことが病床数の増加につながったと言えます。
医師の増加数
2118人の増加
がなされています。
全国で見ると
6位
で、全国平均792.1人を大きく上回っています。
増加率は全国平均12.6%と比べて埼玉県は
26.0%
です。
これも全国3位に位置し、増加数・率から考えると医師不足を感じないかもしれません。
しかし、それを上回るスピードで人口・患者数が増加しています。
医師不足は新医師研修制度によるもの

全国各地に人がいるのにも関わらず、医師数トップの京都は最下位の埼玉の2倍以上の医師がいます。
ここまでの偏りが生じるようになった原因として
「新医師研修制度」
が挙げられます。
それまでは、大学の医局が医師を派遣するシステムだったのですが、
卒後臨床研修が義務化
されたことによって、
研修先の病院を研修医自身で選ぶことができるようになったのです。
結果、日本の主要都市に研修医が集まり、医師の偏りに拍車をかけてしまいました。
医師数が不足している埼玉も、すぐ隣に東京があるので、東京を選ぶ研修医が増加しました。
立地の問題など、埼玉の医師不足解消は難しいかもしれませんが、それでも新しい方策を試みる姿勢は
他県も見習うべきでしょう。
埼玉ではこれ以外にも医師不足・雇用環境の改善に力を注いでいます。
・産休・育休から復職したいと考える女性医師の支援
・開業医による拠点病院の支援
・医療機関に属していてもキャリアアップできるプログラムの作成
医師不足を最も痛感している埼玉だからこそ、医師を大切にできるのかもしれませんね。