医師不足は日本のいたるところで起きていて、刑務所内も例外ではありません。
刑務所の医師不足が加速していて、欠員の数が過去最大となっていることが分かっています。
医師不足によって受刑者を収容できないのが現状です。
今回はこの刑務所内での医師不足問題を取り上げていきます。
定員の4分の1が欠員
刑務所を含む矯正施設では常勤の医師が相次いで辞職し、欠員の数が
今までで最大となっています。
NHKが法務省に取材を試みたところ、2014年10月1日の時点で、
定員327人のうち欠員が76人となっていて、
割合として4分の1
ほど不足していることが分かりました。
腎臓病を患い人工透析が必要な受刑者を受け入れることが出来ず、
全国で112人を収容できていません。
実刑が確定していても、自宅・病院で待機している受刑者が多くいます。
また、既に収容されている受刑者の診察もままならない状況で、外部の病院へ連れて行くケースも
増加傾向にあるのだとか。
北海道の網走刑務所では医師不足が続き、受刑者を300キロ以上離れた札幌刑務所に移送しなければならないことも。
これは費用の面でも悪影響です。
所内での集団感染が拡大するケースもあり、結核やインフルエンザが所内で蔓延するなども大きな問題だと言えるでしょう。
医師不足が進む背景
2014年度の1月にも刑務所内の医師不足は深刻な問題だとして考えられていました。
原因として、民間医療機関の医師と比較した時に月額が20万以上低いことや、国家公務員として扱われるので
研修を受ける際も無給であること、
兼業が禁止されていること、国民の認知度が低いことなどが挙げられます。
また、医師として十分な経験を積むことが出来ず、キャリアアップが見込めないことなども
医師不足に拍車をかける要因です。
医師不足の改善
受刑者が外部の医療機関で診療を受けなければいけない現状は大変リスクが高いです。
逃走の危険性はもちろん、一般患者の不安をあおる可能性も少なくありません。
法務省では10年以上減少傾向にある刑務所の医師不足問題を打破するため、医師の待遇見直しを検討しています。
給与以外の特別手当や兼業許可、定年の引き上げで勤労意欲を高めていこうと考えていて、そのために
国家公務員法や関係法令の改正、特例法制定なども視野に入れているとのこと。
矯正施設の医師不足は、受刑者の健康はもちろん、国民生活にも多大な影響を及ぼすため、早急に解決しなければならない案件だと言えるでしょう。