地方の産科医不足により、産婦人科の休診を余儀なくされる病院が増えています。
とくに分娩を扱う、産科は年々医師不足から休診が相次いでいるのが実情です。
長野県大町市立総合病院産婦人科は、2名いる産科医の1人が1月に長期療養に入ったため、分娩と産科診療が3月末に休止する見込みです。
これを受け、同市の牛越徹市長らが3日、県庁で阿部守一知事に産婦人科継続のための医師確保に協力を求める要望書を提出しました。
同行した大北地域の市民も5市町村で集めた6580人分の署名を提出しました。
牛越市長は「少子化の中、若い世代の子育て支援は極めて重要。
安全に出産できる環境づくりのため協力をお願いしたい」 と述べ、阿部知事は「問題意識はみなさんと全く同じ。
できることは何でもやりたい」 と応じたものの、産科医確保は難航しそうです。
産科休止で人口6万人の大北地域で出産できる病院がゼロに
産科が休止されれば、大北地域で出産できる病院がなくなります。
現在、通っている妊婦で3月末以降に出産予定の21人については、松本や安曇野市などの医療機関を紹介するとしています。
人口6万人を支える産科医療が、今まで2名の医師よって支えられていました。
ギリギリの医療体制が、突然の産科休診を招いたといえるでしょう。
県立病院機構、近隣医大も「産科医のこれ以上の増員は難しい」
しかし、実現は難しいとの見方が大勢をしめています。
信州大病院は取材に対し「産科医のこれ以上の増員は難しい」と回答。
た県によると、県立病院機構は医師不足を抱え、新たな派遣は難しい。
県の医師紹介制度に現在産科医の登録はなく、県内に常勤医を派遣する自治医科大(栃木県下野市)も産科医の派遣は予定していないといいます。
県の担当者は「現状では県出身の産科医らに接触して、大町総合病院への勤務をお願いするしかない」と苦しい現実を語りました。
日本の人口減や医療訴訟リスクと共に、特に不足が叫ばれるようになった産科医。地域の存続問題に直結するのみならず、日本の人口政策にも影響を及ぼします。
産科医の確保は、今後地方自治体のみならず大都市圏にとっても重要な課題になるでしょう。