産婦人科医不足で「出産難民」が生まれる

産婦人科医不足で「出産難民」が生まれる

日本国内で「医師不足」が社会問題化したのは20世紀末以降の事で、2000年以降は問題解消の取り組みも始まりました。しかし、2015年現在においても医師不足の問題が深刻化し続けている分野があります。

それこそが命のゆりかごである産婦人科業界であり、産婦人科医の不足は「出産難民」を生み出すまでに及んでいるのです。

「出産難民」とは

産科の減少に伴って、出産を希望する妊産婦の方が希望する医療施設などを利用できないことを言います。
中には緊急の対応を必要とするのに受け入れ場所が見つからず、非常に痛ましい事態に陥る例もあり、日本の出生率への影響を懸念されている状況です。

厚生労働省によって医師数増加の取り組みが進められている現在に至っても医師の偏在は解消されておらず、そのためにこのような事態が起こっているのです。

医師の偏在が起こる理由

産婦人科医不足で「出産難民」が生まれる

医師に対するアンケートによると、産婦人科の医師が「不足している」という回答が半数以上にのぼります。
その中で「危機的に不足している」というのが6.1%で、それに対して地域の産婦人科医が足りているという意見はわずか9.2%に留まりました。
一般の視点から見ても医師不足と判断する割合は全体の49.4%に及び、人口の約半数が産婦人科医不足を実感しているのです。

レディースクリニック自体は相当数が新たに開業していますが、その中でお産を扱うクリニックがごくわずかしかありません。
産婦人科医の労働条件は非常に過酷で、勤務時間は不規則で、しかも医療訴訟などのリスクが他の診療内容に比較して格段に増加します。
体力を消耗する勤務体制や医療訴訟のリスクが敬遠された結果、産婦人科医を目指す若手が減少してしまったのです。

また、もう一つの原因として医師臨床研修制度の改正も影響していると考えられます。
制度の改正によって産婦人科が必修科目から外れた時期に、産婦人科医になる若手が急激な現象を見せました。
それが起こったのは2010年から2014年にかけての間で、産婦人科医としての登録数が491人から334人へと激減したのです。

産婦人科医不足が起こっている地域

産婦人科医不足で「出産難民」が生まれる

地域別データを参照してみますと、より深刻に産婦人科医が不足している地域が明らかになります。
日本国内で最も産婦人科医が不足しているのは福島県で、311の被災による影響がいまだに尾を引いているのかも知れません。
次点が島根県、続いて青森県の順で産婦人科医が少なく、逆に十分に足りているという地域には京都、大阪、東京、兵庫などの主要都市名が並んでいます。
しかし、産婦人科医が集中している都市圏在住者であっても安心とは程遠いと認識しておかなければならないでしょう。

都市圏に次々と開業しているレディースクリニックの多くは、お産を扱っていません。
出産を希望するならば妊娠前から情報収集を開始し、初期からお産までを見てもらうか、かかりつけ医を見つけておくことが、出産難民にならないための唯一の策と言えそうです。

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