団塊の世代が全員75歳以上となることから、医療現場では2025年問題として対応が進められています。
地域包括医療構想はその一環の取り組みなのですが、計画が構想通りに進めば2025年を迎えた時には入院ベッドの必要数が4000床減るだろうという予測が青森県から発表されました。
削減される4000床は、あくまで病気治療の基本体制の転換が計画通りに進めば、という前提の上に成り立つ数字です。
しかし、医師をはじめとした医療従事者の人材不足の現状から鑑みて、医療制度崩壊を阻止するためにも達成すべき減少目標値と言えるでしょう。
厚生労働省の定める計算式から算出される必要病床数
厚生労働省の定める必要病床数算出方法に従って2025年度の推定値を割り出すと、青森県全体で11.827床となります。2014年度の数値が15.928床ですから、減少する病床数は4.099床です。
さらに県内の地域を細かく数字を割り出すと、特に減少の幅が広かった地域が見えてくるでしょう。
津軽地域、青森地域、西北五地域と言った、日本で第2位の高齢化ポイントを示す青森県の中でも特に高齢化の顕著な地域です。
津軽、青森地方でそれぞれ1.000床以上、西北五地域に至っては半数以上の減少幅を予測されています。
西北五地域における現状
全国的に見て際立って高齢化率の高い西北五地域では、医療機能の再編成が火急の問題として取り上げられています。
平成24年度の時点では、病気療養患者の3人に1人が他地域の病院に入院している状況がありました。
そこで、地域医療を守る自治体病院が民間医療機関と連携を図り、分担しながら地域全体で効率的な医療を提供することで在宅治療を受けられる患者の割合を増やす必要性が提唱されました。
また、同時に人材不足に陥った自治体病院を一体的に再編成することで、人、ものにまつわる運営費の効率化を図る、というのが青森県、西北五地域における地域包括医療計画です。
機能再編成に当たって医師がすべきこととは
自治体病院の一体的な再編成によって、医師、看護師は機能をまとめた病院に集められる事になります。
地域を統括するセンター的な役割を担う病院には、各地域で行われるプライマリ・ケアの範囲から外れた患者が治療を求めてやってきます。
つまり、これからの医師には自分の所属する現場に応じたスキルが必要とされるのです。
プライマリ・ケアには総合的な診断や地域への理解が、その先の治療には最先端の知識と技術が欠かせません。
青森県で見られるこのような医療再編成は、いずれ日本全国でも行われていきます。いずれ医師、看護師も所属や働き方を考え直す時がやってくるでしょう。
その時に自分がどちらへ進むのかを、今のうちに考えておくことをおすすめします。