日本の医師不足と超高齢化の未来を考える

2025年度には病棟の入院ベッド必要数が4000床減るかも知れない

日本は世界の先進国の中では人口に対する医師数が不足しています。

医師不足が社会問題化してからは、後期高齢者の人数が最も拡大する2025年から2030年に焦点を当てて対策が急がれてきました。

医師の専門化を進めるとともに人材育成に公的予算を傾注し、人員増加を図ってきたのです。

2015年5月1日時点として行われた全国の病院を対象とした必要医師数の調査結果によると、2010年9月に実施された同様の調査結果に比較して必要な医師数倍率は0.04低下しています。
全体的な医師数から考えれば、医師不足への対策は功を奏していると見ていいでしょう。

しかし、医師の専門分野が厳密に分化し、科目ごとの垣根が逆に高くなりつつある現在、総合医師数では計れない医師偏在が大きな問題を生み出していることは看過できません。

医師偏在によって崩壊に瀕している診療科目


病院において、さらに確保しなければならない医師数は減っているというのが現在の傾向です。
しかし、すでに必要数を確保している、あるいは必要数が減少していると言えるのは、皮膚科、歯科、眼科などの分野に限られます。

産婦人科、小児科などは全国のどの地域でも同様に医師数が不足しており、しかも開業している産婦人科医は大部分が60代以降なのです。

これは人口と医師数が過密している首都圏でも変わらない傾向で、これらの分野における医師不足は依然として継続している上に、さらに危機的な状況を近い将来に迎えるでしょう。

日本の社会で安全に子供を産み、育てるには、妊娠以前からかかりつけの産科、産婦人科を確保しておく必要があります。

現在は限られた産婦人科の予約を患者が取り合っている状況で、初診の場合は他の医師からの紹介状を用意しなければならない、というケースが多いようです。
小児科でも同様の工夫が必要でしょう。

少子高齢化、超高齢化の未来へ向けて

2025年度には病棟の入院ベッド必要数が4000床減るかも知れない

こうした「産みにくく育てにくい」社会の中で、政府主導のもと超高齢化対策は進んでいます。

地域包括医療構想が描く医療制度の新しい姿は、在宅療養の割合を増やして地域の病院を医療の窓口に定め、大学病院などで高度な医療を提供する、という形です。

医師、看護師、介護士などの必要数確保は超高齢化の極まる2025年から2030年に向けて土台を固めようとしていますが、しかし、そろそろ医師、看護師、介護士の人数が充実した後のことを考える時期に来ているのではないでしょうか。

なぜ団塊の世代が後期高齢者になると日本が「超高齢社会」になるのかと言うと、現在の日本では団塊の世代が最大多数を占めているからです。
彼らが後期高齢者となり、その後医療の手を求めなくなった時にはむしろ病院の数が余る、という状況が訪れる訳です。
余った病院は解体せざるを得ません。
そうすれば、所属していた医療スタッフはより人口の多い地域へと移っていくことになります。

この問題解決に向かう筋道は、日本の少子化への対応として、医療分野でもより「産みやすい」環境を作っていくべきなのでしょう。
それには産科医の充実が欠かせません。

現在産科医や小児科医を志望する人材が不足しているひとつの原因は、学生が思い描く「理想」と「現実」像が乖離していることだと言います。

医学生や研修生に向けて、医師の実態に接する機会を用意する必要があるでしょう。
実際の仕事ぶりや、どの科目でどのように医師が希求されているのかを知ることで、単なるイメージだけではなく志を持って将来の方向性を選べるようになるはずです。

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