慶応大が開発した人口知能が医師国家試験に挑戦

慶応大が開発した人口知能が医師国家試験に挑戦

慶応大学などが現在開発中の医療向け人口知能プログラム。
医師国家試験に挑戦し、今回正答率4割の成績を叩き出しました。
この人口知能プログラムは一体どんな代物なのか、また将来にどういった影響を与えるかついてご紹介していきます。

開発は慶応大と静岡大


この人口知能プログラムは、慶応大学理工学部の榊原康文教授と医学部研究グループ、また、静岡大学情報学部の狩野研究室などの手により共同開発されました。
将来の医療現場におけるサポートシステムとして開発されていますが、今回は医師国家試験用にアレンジされたプログラムとして試験に挑んだとのことです。

正答率は4割越え


人口知能プログラムが今回挑んだのは、医師国家試験の「臨床実地問題」。
臨床実地問題は、問題用に用意された患者の情報や検査結果の内容を基に、いくつかの選択肢から医療上の適切な対応方法を答える選択肢型の試験です。
この臨床実地問題を人口知能プログラムに回答させたところ、27題中正答率は42.6%を達成しました。
ランダムに解答した場合の正答率は約19.6%と言われているため、偶然ではないことが分かります。
今回は、医師国家試験の合格ラインとなる正答率60%には届かなかったものの、このプログラムは未だ試作段階。今後改良を加えることで2~3年のうちに試験合格も可能であると考えられています。
なお、こういった人口知能が医師試験に挑むのは、国内では今回が初となりました。

目標は医療現場のサポート

医師不足解消に向けた医師のメンタルヘルス

この人口知能プログラムは、医療現場での医師や看護師のサポートシステムを最終的な目標としているとのこと。電子カルテなどの診断情報を取り込み、医師の診察補助・支援・代行を目的としているようです。
この人口知能プログラムは、コンピュータ上に蓄積された莫大な医療情報を基に医療判断を行います。
医師がたまたま知識を忘れてしまった場合、対処に困る場合などに、それを補填・サポートする心強い存在となってくれるでしょう。

将来の医療現場は安泰?


この人口知能プログラムが実用化されれれば、診断結果の分析や患者への対処法の選定など、知識を用いる仕事に関しては大きな助けとなってくれるはずです。
深刻化している医師不足、看護師不足をカバーしてくれる存在となり得るかもしれません。

ただし、この人口知能プログラムはあくまでも蓄積されたプログラムデータから選択肢の中から回答を導き出すだけです。今のところ、臨機応変な対応や人間としての道徳的な判断などは難しいと言えるでしょう。

このように、医療の世界にも人口知能がより身近な存在となってきました。
将来的に実用化されれば、今とはまた異なった医療現場が造られていくかもしれません。

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