東北での大学医学部の新設先が仙台市の「東北薬科大学」に決定しました。
これは地域医療の充実化を狙ったものですが、2016年春の開学に向けて手続きが進められていきます。
しかし、医学部の新設によって
「教員として現場の医師が引き抜かれるかもしれない」
という懸念があります。
医学部新設への不安
東北の医師の数は全国平均を下回っています。
宮城県も例外ではなく、沿岸部の県立病院常勤医師が約130人で、
過去10年で全体の2割が減少。
最小限の医師数で地域医療を支えている現状で、医師の引き抜きがなされると大変厳しい状態に陥ります。
医学部の教員は約300人で、新設医学部の卒業生が医師として
活躍するのには最低でも10年は必要です。
10年間の教員は現場の医師からの引き抜きで賄う
のならば、
地域医療は崩壊するでしょう。
医学部新設の条件
医師の引き抜きだけが不安材料ではありません。
都会とされている仙台で学部生を募ることで、
医師の偏在
が生まれ、仙台の医療は潤うものの東北全体では医師不足が解消されない可能性があります。
都会とされている仙台で学部生を募ることで、
医師の偏在
が生まれ、仙台の医療は潤うものの東北全体では医師不足が解消されない可能性があります。
そのため、医学部開設にあたって審査会は『仙台への医師の集中とならないよう、東北6県全体の医師偏在解消につなげる枠組みの確立』
『教員確保の際、地域医療に支障をきたさないことを担保する具体的な基準、指針を定めること』などの条件を提示しています。
東北薬科大学の対応
東北薬科大学の高柳理事長は17日に「県に医学部の新設を推進する議員連盟」に対し、準備状況の説明をしました。
その中で、医師の引き抜きについての質問があったのですが、薬科大側は
「関東以西、以南から教員の公募を行う」
と説明。
今回の医学部新設は「仙台市」ではなく「東北全体」の医療現場を改善するものでなければなりません。
「医学部新設によって医療現場に悪影響を与えることはない」と明言しているものの、現状ではまだわからないことも多く、動向に注目が集まります。