現状も慢性的な医師不足が続いている日本ですが、この度2015年11月に、長崎大学が「司法解剖お助けソフト」なるものを開発し、医師不足解消の一助になるのではと注目されています。
このソフトが一体どの様なもので、医療現場にどういった恩恵をもたらすのかをご紹介していきます。
深刻化する医師不足
ご存知のとおり、我が国は、慢性的な医師不足に悩まされています。
2006年調査では、日本の医師人口は約28万人で、人口1000人に対する医師数は2人程度となっています。
現在もこの状況は改善されておらず、悪化を辿っているとも言われています。
先進国では人口1000人当たり医師は5人程度というのが平均であるため、日本の医師は極めて少ない状況となっています。
また地域格差もあり、地方に行けば行くほど医師数は更に顕著に減り、中には医師が1日フル稼働で働いても全く手に負えないという病院もあります。
長崎大が開発した司法解剖お助けソフト
この度、長崎大学が開発した「司法解剖お助けソフト」は、司法解剖時の電子カルテの作成を”音声認識”で行えるソフトとなります。
約4万5千もの法医学用語をデータとして登録しており、例えば「全身」、「頭部」と発声すると、モニター画面に関連したページが開き、「10センチの切創あり」と発声すれば、そのまま電子カルテに所見が書き込まれます。
司法解剖時は専門的な医学用語を多数用います。
そのためこういった音声認識ソフトはこれまでなかなか開発に辿りつけませんでしたが、今回ついに長崎大が形にしたのです。
どういった恩恵が見込まれる?
司法解剖時というのは、遺体の状況を事細かく記録に残していく必要があります。
しかし実際に解剖作業を行っている解剖医は手が塞がっているため、これまで解剖担当と記録担当の2人で解剖に携わるのが通例となっていました。
これがこの司法解剖お助けソフトを活用することにより実質1人で可能となります。
このため、現在解剖医不足から解剖せずに破棄されている遺体にも手が回せ、事件解決に結びつく機会も増えてくると思われていいるのです。
また、手の空いた解剖医が他の医療業務に従事することで、医師不足問題自体にも恩恵を与える期待が持たれます。
医師不足の解消に一石を投じる可能性が
この様に長崎大が開発した司法解剖お助けソフトは、医師不足となっている医療現場の希望の光となってくるかもしれません。
またこのソフトが応用され通常の外科手術などでも活用出来る様になれば、より医師不足の対策となっていくでしょう。