医療崩壊が叫ばれる千葉県の人口10万対医師数は、全国平均を大きく下回ってワースト3位となっています。
東京に隣接しており、依存度が高くなっていることや、医師臨床研修制度による医局の崩壊で医師が偏在していること、女性医師が増加していることも原因として挙げられています。
千葉県のこれまでの医師不足に対する取組み
千葉県では医師不足に対応するために、今ある医療資源を有効に活用していく方向で、機能の再編やネットワークの構築などが行われました。
県内でも人口の密集している地域と過疎地域の偏在があり、医療機関も偏っています。
特に危機的状況にある地域では、圏内で必要な医療が受けられずに手遅れとなる事態も起こりやすい状況となっており、大規模病院との医療連携の構築に取り組んでいます。
各病院の役割分担のために得意分野等のヒアリングが重ねて行われ、核となる病院とそれを取り巻く各病院の特性・機能を活かせる役割分担と補完という体制を築いたのです。
大規模病院だけに患者が集中することは望ましくありませんので、患者側への周知も必要となります。
状態によって受診すべき場所を、具体的な医療機関名を示して周知が行われました。
もちろん医師不足に対する対策も進めており、医師派遣や大学院生の支援制度の創設なども行われています。
慢性的な産科医師不足
現在、産科医はどこも慢性的に不足していると言われています。
産婦人科を志望する医師が減少する原因として、24時間対応が求められる激務であることや、医療訴訟などのリスクが大きいことが挙げられます。
また、医師臨床研修制度の改正で、産婦人科は必修から外されてしまい、さらなる悪化が懸念されています。
それは千葉においても例外では無く、千葉市の産科医療は、医師一人あたりが年間160件の分娩を取り扱っている計算になります。
さらに産科医師の半数以上は65歳以上となっており、高齢化も進んでいます。
産科志望医学生に対する支援
千葉県では平成28年度より、産科を志望する医学部学生に対して、修学金を貸し付ける枠が新設されました。
これは、もともとあった医学部学生に対する支援に加えて、4年生以上で産科を志望すれば月5万円を追加して受け取ることが出来るというものです。
さらに、卒業後貸付期間の1.5倍を千葉県内の病院等に勤務すると、貸付金の返納を免除されるといった特典まであります。
慢性的な産科医不足は、現状として出産難民までをも生み出しています。
日本産婦人科学会などの調査でも地域格差は今後も広がる見通しとなっており、地方都市では大幅に減るとみられています。
行政にはさらなる対応が求められていくことでしょう。