医師不足は日本各地で、診療科による医師の偏在とともに深刻化が懸念されています。
静岡県では全国平均を上回る医師増加数を記録していますが、それでもなお、人口10万人当たりの医師数については193.9人と、全国平均である233.6人を大幅に下回る状況です。
この統計結果を受けて、静岡県は2016年から「第2期次世代医師リクルーター」などの医師増加に向けた取り組みを始めました。
「第2期次世代医師リクルーター」とはどのような政策なのでしょうか?
若年層を取り込むための「第2期次世代医師リクルーター」
「第2期次世代医師リクルーター」とは、静岡県内の病院に勤務する研修医によって同県の医療が持つ魅力を医学生に周知し、静岡県で医療に従事する意義について認知してもらおうという取り組みのことです。
既に初期臨床研修医と、専門研修医をあわせた20名にリクルーターの業務が委嘱されており、期間を1年間と定めてそれぞれの出身大学などで、大学生や高校生を相手としたセミナーへの参加を求められています。
静岡県では医師不足によって周産期センターの開設が遅れるなどの問題が持ち上がっており、新しい医師の育成は危急の問題です。
学生に向けて学費免除などのサポート体制を整えていますが、それでもなお人口10万人当たりの医師数は全国で40位に留まっています。
若い世代に働きかけるならば少しでも感性が近い若者に訴えかけてもらおう。
それが「第2期次世代医師リクルーター」の真意であると考えられます。
「第2期次世代医師リクルーター」は有効打になるのか?
若年層に対しては、若い世代の「先輩」による指導の方が権威ある「大人」の言葉よりも響くということはあるかもしれません。
ですが、その現実的な効果については不安もあります。
「本業の傍らに複数の業務が加わることで、本来の研修による技術習得や知識向上が不十分になるのではないか」「自らの希望する診療科に偏った訴求になるのではないか」「彼らに負担を強いても結果が得られるとは限らない」と言った点です。
まだまだお試し段階の制度であり、「1年間」という区切りが設けられたうえに本人達も納得して参加している取り組みですから、こうした懸念はすべて的外れで、ふたを開けてみれば大いに効果が出るという可能性も十分あります。
しかしいずれにしろ、現在学校に通っている医学生や、医学生候補である高校生が医療現場へ押し上げられるまでにはまだまだ年数がかかります。
喫緊の課題として、今まさに限界を迎えようとしている掛川市、磐田市を中心とした「中東遠医療圏」の人材確保が求められているのです。
静岡県においては、若年層の囲い込みだけではなく、スキルアップの意欲を秘めた即戦力となる人材を引き寄せる方策が必要となるでしょう。