医師不足や偏在が明確に表れる中、厚生労働省から地域医療構想に基づく必要医師数が提示されました。
厚生労働省が行った検討会の結果から、4つの医療機能別に見る必要医師数について検討してみたいと思います。
診療科や地域ではなく、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つの医療機能から考えることで、医師不足対策の新たな局面が明らかになったと言えるでしょう。
診療科や地域で抽出されてきた「必要医師数」と実態の乖離
日本医師会による全国の必要医師数の調査において、2015年にわずかに数字が減ったという結果が報告されました。
しかし、地域ごとに受療率が異なること、精神医療の領域と外来に関するデータが未着手であること、現状として医師の長時間勤務が過酷であることなど、数字の変動要因が複数残されています。
政府検討会はこれらの点をどのように「補正係数」として読み込むか、この問題とともに、医師のキャリアステージに沿った医療サービス分野ごとの医師偏在について議論したのです。
診療密度が異なる4つの医療機能別に見る必要医師数
2015年に日本医師会が行った調査によると、各医療機能別の必要医師倍率は以下の通りです。
医療機能別必要医師数倍率
高度急性期:1.11%(必要医師数ありと回答した割合:63.8%)
急性期:1.09%(必要医師数ありと回答した割合:55.1%)
回復期:1.10%(必要医師数ありと回答した割合:39.7%)
慢性期:1.12%(必要医師数ありと回答した割合:34.1%)
多くの医療機関は高度急性期と回復期、高度急性期と急性期、急性期と回復期と慢性期のように機能を複合的に備えており、単独の機能だけに特化したこの数字は参考でしかありません。
例えば「急性期と回復期と慢性期」の機能を兼ね備えた病棟では最も必要医師数倍率が高く、1.20%を記録します。
また、「高度急性期と回復期」の病棟では必要医師数あり、つまり、2015年度の調査段階で確実に人員不足であると回答した割合が87.5%に達しています。
医療機能ごとの診療密度を係数に盛り込み、さらに100床当たりの必要医師数を評価すること。
ここに現在の医師1人当たりの労働時間と、本来の適正な労働時間、医師1人1人の能力差、労働力の評価など、これらを2025年に焦点を当てて変数要因として考慮し、時系列に沿った対応が必要となるでしょう。
厚生労働省調査による現員医師数は常勤換算で約167,064人。
医師偏在の診療科、地域について、ピンポイントで是正する手段を見いだせない中では、医師の総数を拡充する方針を当てはめるしかない、という発言もありました。
医師数は2024年におよそ30万人で均衡するという予測があります。
医師を増員するにしても医学部の定員に関する議論を優先し、各分野への予備人員振り分けを制御していくべきであること、また、必要医師そのものの適時評価見直しを並行してご