東北で働いている医師が「転職しよう」と思う主要なきっかけは3つに集約されます。
まず、「激務に体力が追いつかなくなったとき」です。青森や宮城といった東北を代表する都道府県では、医学部数が少ないため勤務医数が少ない傾向です。勤務医は、外来から手術や夜勤まで少ない人数でこなしており、年齢を重ねるにつれ体力の限界を感じる方は少なくありません。東北で「プライベートの時間も確保しながらやりがいを持って働こう」と思い転職を検討している場合、当直体制や勤務時間、常勤体制についても事前の確認が必要です。
2つ目は、「スキルアッップ、キャリアアップのため」の転職です。東北で専門医取得や転科を希望される場合、病院のホームページなど公開されている情報だけでも比較することをおすすめします。病院採用者のほとんどは、教育・研修内容に魅力を感じて入職する医師がいることをしっているので、ホームページ上に多くの研修内容を公開しています。逆に、公開されている情報が少ない場合は、特徴的な研修内容がないケースがほとんどです。
最後に、「今より良い年収で働きたい」といったニーズによる転職です。これは、家のローンを早く返したい、子供の教育費を稼ぎたいなど、出費が多くなるタイミングで顕著に現れます。そんな医師にとって、東北エリアは最適なエリアと言えます。なぜなら、東北エリアは、医師数が少ない割に病床数や病院数は全国平均よりも多く、今後、淘汰される病院が必ず出てくるため、病院としては年収を多少アップさせてでも医師招聘を優先したいというのが本音なのです。そのため、中にはヘッドハンターをつかって破格の年収を提示する病院も珍しくありません。しかし、年収ばかりに目がいってしまうと、転職後の激務に耐えられず早期退職してしまい、結果的にキャリアに傷をつけるという医師もいます。よい条件提示の裏にあるリスクに関してもしっかりとチェックすることが大切です。
東北で転職をお考えの医師の皆さんにチェックいただきたいポイントを1つあげるとすれば、それは「開設者別の病院採用傾向・チェックポイントを知る」ということです。では、青森を例にとり開設者別病院の違いと転職方法についてみていきましょう。青森県内の医療機関を開設者別にみると、
(1)国立病院8施設
(2)県立病院等5施設
(3)自治体病院26施設
(4)民間病院62施設
(5)その他公的病院1施設になります。(平成24年10月1日現在)
国立病院へ転職をする際に気をつけるべき点は、入職時期です。ほとんどの場合、入職時期を固定にしているため、時期を誤ると応募を断られることもあります。基本的には毎年4月入職が一般的ですので、前年の9月~10月頃には採用情報をチェックしましょう。12月?1月は年末年始をまたいでしまうので、採用もなかなか前に進みません。また、2月に入ると病院側も採用で一番忙しい時期に入ります。総じて10月11月までに面接を住ませておくと、年内に転職先を決定することができるのでおすすめです。また、国立病院の場合、給与範囲はある程度固定となっており、条件交渉がしづらいのが現状です。ちなみに青森県内の国立病院と言えば「青森病院」「弘前病院」「八戸病院」です。採用条件だけでなく、常勤医師の派閥はないか、特徴的な疾患疾病の有無などについても調べておきましょう。
次に自治体病院への転職について説明します。ここでは「青森県立中央病院」を例に紹介します。青森県立中央病院は、厚生労働省が医療計画として掲げている「4疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)5救急医療等確保事業(救急医療、災害時における医療、僻地医療、周産期医療、小児医療)」をカバーするというミッションをもっています。このような情報は、ほとんどホームページ上で確認することができますので、興味のある自治体病院がある場合はチェックされることをおすすめします。採用や教育に力を入れている病院ほど、ホームページの情報が豊富です。特に症例数や患者数を公開している病院は経営においても透明性があり、安心して長く働ける1つの判断基準になります。ちなみに、青森県立中央病院は地域医療を支えるリーダー的存在で、今後の新しい医療モデルの構築にも注力されており、689床のうち病床利用率は86%、年間手術数は5,000例弱と増加傾向にあります。
最後に民間病院です。民間病院は、他の病院と比べて病床数もピンキリで、標榜科目も病院ごとに違いがあり、経営状態や特徴といった情報を得るのが大変難しいといえます。そのため、このような情報を得るためには実際に勤務している医師に確認できるのが理想的です。また、病院側が採用を急いでいる場合、年収交渉がしやすくなるのも特徴の1つ。そのため、民間病院への転職を検討する際には、事前に病院の採用時期(例えば、以前働いていた医師が急遽辞めることがきまり、○月○日までには何とか採用を決定したいといった内容)について事前に確認されるとよいでしょう。また、民間病院は院長や事務長の裁量によって病院の方向性が大きく変動しますので、どういった意向を持っているのかを面接など直接会う機会に判断することが重要です。ちなみに、青森県内の民間病院の1つとして健生病院をご紹介します。健生病院は、弘前市内で民間病院として最も大きな病院です。民間病院としては珍しく医学生の研修病院としても機能しており、治療だけでなくリハビリテーションまで広く実施しています。また、スタッフによるブログも公開されており、現場で働く方の声を確認することもできます。ここでは、医療従事者だけでなく、庶務課や地域連携室、薬局の方々も参加されており、病院全体の雰囲気を確認するのに有効です。
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