女性医師は今や医師全体の約3割にまで増加しています。しかし日本の30代女性医師の労働力率は、スウェーデンやドイツに比べると低いことが分かっています。出産子育てから復職を考えたときにどのような障壁が存在するのでしょうか。
実際に、女性医師が休職する理由として最も高いのが「出産」「子育て」です。子育てと仕事の両立を妨げているのは、「産前産後の休業取得の不徹底」や「非常 勤勤務者への制度不備」また出産後の「低い育児休暇取得率」です。出産前後にしっかりと休めないことで出産を機に離職する女性医師は2割いると言われています。
実際にアンケート結果では「上司や同僚の不理解」や「女性医師本人の遠慮」が指摘されています。また、働き続ける上で最もニーズが高い「院内保育所や託児所の設置」に関しては、 女性医師が働く病院で実際に院内保育所や託児所を設置しているのは半分程度となっています。病院の規模数で見ると病床数が多くなればなるほど院内保育や託児所の設置数が多い傾向にあります。しかし、お子さんが病気になったときに預ける「病児保育のある病院」の設置は病院全体の約2割、宿直や緊急対応などが多い女性医師だからこそ利用したい「24時間保育のある病院」の設置は約3割と、決して女性医師が子育てと仕事を両立する環境は整っているとは言えません。また、院内保育や託児所があっても女性医師が利用しないケースもあり、その理由としては「利用制限がある」「勤務時間と預ける時間があわない」が高くなっています。ただ、院内保育があるだけでなくニーズに合わせた体制作りが求められています。
では子育て中の女性医師の復職を阻んでいるものは何でしょうか。それは「短時間勤務制度がないこと」「フレックスタイム勤務ができないこと」「当直や時間外勤務の免除がないこと」「子供の急病等の際に休暇が取れない」という点です。これらは、女性医師を取り巻く同僚の理解や、女性医師が望んでいる体制つくりに必要な資金を病院が投資できるかにかかっています。今働いている病院が、女性医師の復帰に積極的に関わっているかをこれを機会に確認されてみてもいいかもしれません。
では、女性医師が子育てをしながら復帰しやすい支援について具体的に紹介したいと思います。国や医師会などが実施している女性医師の復帰支援情報をチェックすることで、女性医師が結婚や子育て中でもキャリアを継続できる方法を調べてみましょう。
まず紹介したいのは「女性医師の復帰を目的とした相談窓口の設置」です。
離職して復職するに当たり、不安に感じていること、復帰を難しくしていることは様々です。例えば、24時間保育や病児保育が利用できれば復帰ができるのに・・・と感じている女性医師が相談した場合、相談窓口の担当者は病児保育の利用方法や保育所から情報を収集して提供してくれます。また、復帰に向けた講習会や実施研修の情報に関しても、情報提供、復職研修を受け入れてくれる病院に対して必要経費を捻出したりしています。
日本医師会も、女性医師の離職防止や復帰支援を行っています。
各都道府県にある医師会が連携して「医学生、研修医等をサポートするための会」等の講習会を実施しています。講習会には子育て中の女性医師が参加しやすいように託児サービスを提供しています。残念ながら、勤務医よりも開業医の割合が多いのでサポート内容が開業医向けになりますが、出産を気に開業を目指されていたり、ご自身のご両親が開業医でその医院を引き継がれる予定がある場合は、積極的に医師会のサポートを利用することで、ここでしか得られない情報やご縁があると思われます。
最後に、転職エージェントに依頼するという方法があります。これは、現在、復職を希望する女性医師を積極的に採用している病院や、募集をされている病院を知るのにとても便利です。医師の転職支援を行っている紹介会社にいくつか登録してスピーディに求人情報を手にすることが出来ます。面接や見学の日程調整も任せることが出来るので手間がかからずスムーズです。
実際に子育て中の女性医師を積極的に採用している求人をご紹介します。
働き続けたい女性医師を支援できる医療機関に転職することで、日々のストレスが解消されるかもしれません。