兵庫県赤穂市は人口48,567人(2015年国勢調査)が住む市です。赤穂市の医療施設数は、病院5施設(赤穂市民病院:360病床、医療法人伯鳳会 赤穂中央病院:265病床、医療法人千水会 赤穂仁泉病院:247病床、赤穂記念病院:114病床、医療法人伯鳳会 赤穂はくほう会病院:33病床)、そして一般診療所が34施設でした。では、この医療機関数を人口対比で調査すると、赤穂市の医療機関数はどうなっているのでしょうか。全国の平均医療施設数と比較してみると、病院数は全国平均値よりも高い一方で、診療所は全国平均値よりも少ないことがわかりました。具体的には、赤穂市の人口10万人あたりの病院数は全国平均値6.65に比べ10.30と充実していることがわかります。次に一般診療所数を人口10万人あたりで換算すると全国平均値71.57に対して70.01とほぼ変わらないことがわかりました。(参照元:2018年11月現在の地域内医療機関情報の集計値/人口10万人あたりは、2015年国勢調査総人口で計算)つまり、人口対比でみた赤穂市の医療機関数は「全国平均よりやや多いか、ほぼ変わらない状況」と言えます。では、医療機関で働く常勤医師在籍数はどうなのでしょうか。赤穂市内の常勤医師在籍数を調べてみると、140名が在籍していました。(2018年11月現在の地域内医療機関情報の集計値)この常勤在籍医師数を医療施設と同じように「人口10万人あたり」でチェックすると、全国平均医師数246.00人と比較して288.26人と約42ポイント高く、医師数は充実した状況だと言えます。このことから、現時点の赤穂市で働く常勤医師数の募集ニーズは全国平均よりもやや低いと言えます。しかし、この数値を鵜呑みにして赤穂市内に転職を決めるのは時期尚早です。なぜなら、今後数十年先には日本各地の市区町村で人口が大きく変動する可能性があり、現状だけの情報だけでは転職を決定づけるのは不十分だからです。例えば、2025年問題(団塊の世代が2025年頃までに後期高齢者による介護・医療ニーズの急増が危惧されている問題)や過疎化、オンライン診療など技術や環境の変化が今後ますます増え、将来の医師募集ニーズの見通しが立ちづらくなっています。そこで「現在から25年後までの高齢者人口の推移」をチェックすることで、今後数十年の赤穂市の医師募集ニーズがどのように変化するのかシミュレーションしてみましょう。考察にあたり、推計データとして将来推計人口から計算した「医療需要予測指数」をご紹介します。この推計値によると、赤穂市の2015年の医療需要の実績を100とした場合、2020年予測では100、2025年は101、2030年予測では101、2035年では99、2040年予測では95、2045年予測では91と現状に比べて約1割減少することがわかりました。つまり、医師募集ニーズは、現状よりも減少する可能性があります。次に「介護施設の需要データ」をチェックしましょう。このデータによれば、赤穂市の介護需要予測指数は、2015年実績を100とした場合、2020年予測では100、2025年は109、2030年予測では120、2035年では122、2040年予測では117、2045年予測では112と、2035年までは増加傾向だったのが減少傾向に転じ、25年後には現状の介護需要の1.1倍ほどで落ち着いていることがわかります。このことから、介護現場での医師募集ニーズは、今後25年間は現状維持かやや高まる可能性があると言えるでしょう。