兵庫県多可町は人口21,200人(2015年国勢調査)が住む市で、北播磨医療圏(西脇市|三木市|小野市|加西市|加東市|多可町)の中では人口がもっとも少ない市です。医療施設数は、病院2施設(多可赤十字病院:110病床、医療福祉センターのぎく:60病床)、そして一般診療所が9施設あります。多可町の医療機関数を人口対比で全国平均値と比較すると、病院数は全国平均値よりやや多く、診療所数は全国平均値よりかなり少ないことがわかりました。具体的には、多可町の人口10万人あたりの病院数は全国平均値6.65に比べ9.43と約3ポイント高い数値でした。また多可町の一般診療所数を人口10万人あたりで換算した場合、全国平均値71.57に対して42.45と約29ポイント低い状況でした。(参照元:2018年11月現在の地域内医療機関情報の集計値/人口10万人あたりは、2015年国勢調査総人口で計算)このような医療機関数の状況である多可町ですが、常勤医師在籍数は全国平均値よりも少ないのでしょうか。多可町内の常勤医師在籍数を調べてみると、20名が在籍しており(2018年11月現在の地域内医療機関情報の集計値)、人口10万人あたりの全国平均医師数246.00人と比べてみると94.34人と半数以下であることがわかりました。このことから、現時点の多可町で働く常勤医師数は、厳しい医師不足が推測されます。つまり、多可町の常勤医師募集ニーズは全国に比べて非常に高いと言えるでしょう。しかし、多可町のように人口が少ない地域では、今後ますます人口が減少することが予想されます。加えて、2025年問題(団塊の世代が2025年頃までに後期高齢者(75歳以上)に達する事により、介護・医療ニーズの急増が危惧されている問題)など、医師募集ニーズに大きく影響を与える要素があり、現時点の募集ニーズだけを考えて転職先を決めるのは注意が必要です。そこで、多可町の現在から将来までの高齢者人口の推移をチェックし、数十年先の多可町の医師募集ニーズがどのように変化するのかについてご紹介したいと思います。多可町の数十年先の医療募集ニーズを表す推計データとして、将来推計人口から計算した「医療需要予測指数」があります。この推計値によると、多可町の2015年の医療需要の実績を100とした場合、2020年予測では99、2025年は98、2030年予測では94、2035年では88、2040年予測では82、2045年予測では74と今後ずっと減少傾向であることがわかりました。つまり、医師募集ニーズは医療ニーズの減少に伴い減少すると考えられます。次に「介護施設の需要データ」もチェックしていきましょう。このデータによれば、多可町の介護需要予測指数は、2015年実績を100とした場合、2020年予測では107、2025年は116、2030年予測では119、2035年では115、2040年予測では109、2045年予測では102と2030年までは微増しますが、それ以後は減少傾向にあることがわかりました。これらのデータから、介護現場での医師募集ニーズは今後10年ほどは今よりも高くなる可能性がありますが、2030年がすぎたあたりからは徐々に医師募集ニーズも減少に転じる可能性が高くなるでしょう。