兵庫県相生市は人口30,129人(2015年国勢調査)が住む市です。相生市の医療施設数は、病院4施設(魚橋病院:374病床、IHI播磨病院:180病床、医療法人社団天馬会 半田中央病院:130病床、相生市民病院:56病床)、そして一般診療所が19施設でした。医療機関数だけで見ると決して多くはありませんが、医療機関数を人口対比で全国平均値と比較すると様子が変わってきます。全国の平均医療施設数と比較してみると、病院数は全国平均値よりも高い一方で、診療所は全国平均値よりも少ないことがわかりました。具体的には、相生市の人口10万人あたりの病院数は全国平均値6.65に比べ13.28と2倍以上である一方、一般診療所数を人口10万人あたりで換算すると全国平均値71.57に対して63.06と約8ポイント低いことがわかりました。(参照元:2018年11月現在の地域内医療機関情報の集計値/人口10万人あたりは、2015年国勢調査総人口で計算)つまり、人口対比でみた相生市の医療機関数は「病院は全国平均より多いが、一般診療所数は全国平均より少ない」状況でした。では、医療機関で働く常勤医師在籍数はどうなのでしょうか。相生市内の常勤医師在籍数を調べてみると、54名が在籍していることがわかりました。(2018年11月現在の地域内医療機関情報の集計値)医療施設と同じように「人口10万人あたり」でチェックすると、全国平均医師数246.00人と比較して179.23人と約67ポイント低いことがわかりました。このことから、現時点の相生市で働く常勤医師数の募集ニーズは全国平均よりも高いと言えます。しかし、この状況は長くは続かないでしょう。というのも、今後数十年先には日本各地の市区町村で人口が大きく変動するためです。その一因になるのが2025年問題(団塊の世代が2025年頃までに後期高齢者による介護・医療ニーズの急増が危惧されている問題)です。地域によっては、その逆に過疎化が進み人口減少、さらには村の消失など、医師募集ニーズの変動要素が多く発生する可能性があります。そこで「現在から25年後までの高齢者人口の推移」をチェックしていきたいと思います。そうすることで、今後数十年の相生市の医師募集ニーズがどのように変化するのか考察していきたいと思います。考察にあたり、推計データとして将来推計人口から計算した「医療需要予測指数」をご紹介します。この推計値によると、相生市の2015年の医療需要の実績を100とした場合、2020年予測では99、2025年は100、2030年予測では98、2035年では93、2040年予測では86、2045年予測では80と現状に比べて20%減少することがわかりました。つまり、医師募集ニーズは、医療ニーズの減少に比例して減少していく可能性があると言えるでしょう。次に「介護施設の需要データ」をチェックしましょう。このデータによれば、相生市の介護需要予測指数は、2015年実績を100とした場合、2020年予測では100、2025年は110、2030年予測では121、2035年では118、2040年予測では107、2045年予測では98と、2030年をピークに減少傾向に転じることがわかります。そして25年後には現状の介護需要を下回る予想が出ており、医師募集ニーズも減少する可能性を秘めています。